GLOSSARY

スタートアップ用語集

資金調達・組織・グロースでよく使われる用語を、初学者にもわかるように1〜2文で解説。関連記事へのリンク付きです。

A

アクセラレーターAccelerator

スタートアップの成長を加速させるプログラムを提供する組織。一定期間のメンタリング・少額出資をパッケージで提供し、デモデイで投資家へのプレゼン機会を設ける。

EXITExit

投資家がスタートアップへの投資から回収を行うこと。主にIPO(株式公開)とM&A(企業買収)の2つの方法があり、VCのビジネスモデルの根幹を成す。

インキュベーターIncubator

創業間もないスタートアップに対し、オフィススペース・経営支援・ネットワーキング機会などを長期的に提供する施設・組織。アクセラレーターより長期間・低圧力の支援が特徴。

エクイティファイナンスEquity Finance

株式を発行して資金を調達する方法。返済義務はないが株式の希薄化が起こる。VCやエンジェル投資家からの出資がこれに該当する。

NPSNet Promoter Score

顧客ロイヤルティの指標。「このサービスを友人に薦めますか?」を0〜10で評価し、推奨者(9-10)の割合から批判者(0-6)の割合を引いて算出する。PMFの定性指標としても活用される。

MRR / ARRMonthly / Annual Recurring Revenue

月次・年次の経常収益。SaaSなどサブスクリプション型ビジネスの成長指標として使われる。ARR = MRR × 12。投資家が重視する主要KPIの一つ。

MVPMinimum Viable Product

仮説検証に必要な最小限の機能を持つプロダクト。完璧なプロダクトを作る前に、核となる価値提案を素早くテストするための手法。

LTVLifetime Value

顧客生涯価値。1人の顧客が取引開始から終了までにもたらす総収益。ARPU(顧客単価)×平均契約期間で概算できる。CACとの比率がユニットエコノミクスの基本指標。

LPLimited Partner

ファンドへの出資者(有限責任組合員)。VCファンドに資金を提供するが、投資先の選定や運営には直接関与しない。年金基金・金融機関・事業会社などが該当する。

エンジェルシンジケートAngel Syndicate

複数のエンジェル投資家が一つの投資機会に資金をまとめて共同出資する仕組み・グループ。リード役の投資家が案件を発掘・審査し、他の参加者は少額から相乗りできるため、個人投資家でも大型案件に参加しやすくなる。

エンジェル投資家Angel Investor

個人の資産でスタートアップに投資する投資家。元起業家や経営者が多く、資金だけでなく経験やネットワークも提供する。少額・早期段階での投資が特徴。

オブザベーションライトBoard Observation Right

投資家が議決権を持たないオブザーバーとして取締役会に出席し、議論を傍聴・発言できる権利。取締役会の議席を持たない投資家が、経営状況を把握しつつ経営への直接関与は控える場合に設定される。

KA

希薄化防止条項Anti-Dilution Provision

ダウンラウンドが発生した際に、既存の優先株主の転換価格を調整し、持株比率低下の影響を緩和する条項。「フルラチェット型」と「加重平均型」があり、日本のスタートアップ投資では加重平均型が一般的とされる。

キャップテーブルCap Table (Capitalization Table)

会社の株式構成を示す一覧表。各株主の持株数・持株比率・株式の種類を管理し、資金調達ごとに更新する。希薄化シミュレーションの基礎資料。

キャピタルコールCapital Call

VCファンドがLP(出資者)に対し、コミットメント(出資約束額)の一部について実際の払込を要求すること。投資実行のタイミングに合わせて段階的に行われ、ファンド資金を一括で預からない運用方式の根幹をなす仕組み。

クロージングClosing

資金調達における契約締結と払込が完了し、投資が正式に実行される手続き。タームシート合意後、デューデリジェンスと最終契約書(投資契約・株主間契約等)の締結を経て、実際に資金が振り込まれる時点を指す。

コ・インベスターCo-Investor

同一の資金調達ラウンドに、リードインベスターと共に出資する投資家。共同投資家とも呼ばれ、条件交渉の主導はリードに委ねることが多いが、後続ラウンドでのシナジーやネットワーク提供を期待して招かれることもある。

SA

CACCustomer Acquisition Cost

顧客獲得コスト。マーケティング・営業にかかった総費用を、同期間に獲得した新規顧客数で割って算出する。LTVとの比率がビジネスモデルの健全性を示す。

シードラウンドSeed Round

スタートアップが最初に外部から資金を調達するラウンド。プロダクト開発〜初期検証段階で行われ、日本では3,000万〜1.5億円規模の調達が一般的。

GPGeneral Partner

ファンドの運営者(無限責任組合員)。VCのパートナーとして投資先の選定・投資実行・支援・EXIT戦略を担う。管理報酬とキャリー(成功報酬)を受け取る。

CVCCorporate Venture Capital

事業会社が自社の戦略目的で行うベンチャー投資、またはその投資部門。財務リターンだけでなく、自社事業とのシナジーや新規事業創出を目的とする。

J-KISSJ-KISS (Keep It Simple Security)

Coral Capitalが策定した日本版の転換型新株予約権。バリュエーションを次のラウンドまで先送りでき、シード期の迅速な資金調達に適した標準契約スキーム。

資金調達ラウンドFunding Round

スタートアップが投資家から出資を受ける一連の調達活動の総称。プレシード・シード・シリーズA以降と段階が進むにつれ調達額とバリュエーションが拡大するのが一般的で、各回ごとに条件交渉とタームシート作成が行われる。

シリーズASeries A

シードラウンドの次の資金調達ラウンド。PMFを達成し事業の成長性が示された段階で行われる。日本では数千万円〜数億円規模の調達が一般的。

スタートアップエコシステムStartup Ecosystem

起業家・投資家・大学・行政・大企業・支援機関が相互に連携し、スタートアップの創出と成長を支える環境の総称。関西では大阪・京都・神戸を中心に形成が進む。

ストックオプションStock Option (SO)

あらかじめ定められた価格で自社株式を購入できる権利。従業員やアドバイザーへのインセンティブとして付与される。会社の成長に応じて権利の価値が増加する。

清算優先権Liquidation Preference

会社清算やM&A時に、優先株主が普通株主より先に投資額の一定倍数を回収できる権利。「1倍・非参加型」が標準的とされ、倍率や参加型か非参加型かの違いが投資家と創業者のリターン配分を大きく左右する。

SAFESimple Agreement for Future Equity

Y Combinatorが開発した将来株式取得についての簡易契約。J-KISSの原型となった米国発の投資スキームで、バリュエーションキャップとディスカウント率で条件を設計する。

TA

タームシートTerm Sheet

投資条件の概要をまとめた文書。バリュエーション・出資額・株式の種類・取締役構成・希薄化防止条項など主要条件を記載する。法的拘束力は通常持たない。

ダイリューションDilution

希薄化。新株発行による資金調達で既存株主の持株比率が低下すること。各ラウンドでの放出比率を計画的に管理し、創業者の経営権を維持することが重要。

ダウンラウンドDown Round

前回の資金調達時より低いバリュエーションで行う資金調達。既存株主の持株価値が実質的に下がり、希薄化防止条項の発動を招くことが多い。市況悪化や事業計画未達時に発生しやすく、次ラウンド以降の交渉にも影響する。

タグアロングTag-Along Right

大株主(主に創業者)が株式を第三者に売却する際、少数株主も同条件で一緒に売却できる権利。共同売却権とも呼ばれ、ドラッグアロングと対になる条項として、投資家の売却機会を確保するために設定される。

TAM / SAM / SOMTotal / Serviceable / Obtainable Market

市場規模を3段階で評価するフレームワーク。TAM(獲得可能な最大市場)、SAM(自社が参入可能な市場)、SOM(短期的に獲得見込みの市場)の順に絞り込む。

チャーンレートChurn Rate

解約率。一定期間内にサービスを解約した顧客の割合。SaaSでは月次チャーン3%以下(年間約30%以下)が健全とされる。PMF達成の重要な指標でもある。

ディスカウントConversion Discount

転換型新株予約権が次ラウンドの株価に転換される際、一定割合を割り引いた価格で株式を取得できる権利。一般的に10〜30%程度が設定され、早期にリスクを取った投資家への対価として機能する。

デットファイナンスDebt Finance

銀行借入や社債発行など、返済義務のある負債による資金調達方法。株式の希薄化は起こらないが、返済と利息支払いの義務が生じる。

デューデリジェンスDue Diligence (DD)

投資判断の前に行う詳細調査。事業・財務・法務・技術など多角的に企業の実態を精査し、投資リスクを評価するプロセス。

転換社債Convertible Note

一定の条件のもとで株式に転換できる社債。シード期の資金調達で使われることがあり、J-KISSやSAFEとは異なり負債として計上される点が特徴。

独占交渉権Exclusivity (No-Shop Clause)

タームシート合意後、一定期間(通常30〜60日程度)は他の投資家との資金調達交渉を行わないことを起業家に義務付ける条項。ノーショップ条項とも呼ばれ、投資家がデューデリジェンスに安心して時間をかけられるよう設けられる。

ドラッグアロングDrag-Along Right

大株主がM&Aによる会社売却に合意した際、少数株主にも同条件での売却参加を強制できる権利。投資家がEXITを実現しやすくするための条項で、少数株主の反対で買収交渉が頓挫することを防ぐ目的で設定される。

HA

バーンレートBurn Rate

スタートアップが毎月消費する資金の量。グロスバーンレート(総支出)とネットバーンレート(収入差引後の純支出)がある。ランウェイ算出の基礎となる。

バリュエーションValuation

企業の価値評価額。「プレマネーバリュエーション(出資前の企業価値)」と「ポストマネーバリュエーション(出資後の企業価値)」の2種類がある。

バリュエーションキャップValuation Cap

J-KISSなど転換型新株予約権が株式に転換される際の上限企業価値。次ラウンドの評価額がキャップを上回っても、投資家はキャップを基準にした有利な価格で転換できる。早期投資家の期待リターンを保護する仕組み。

PMFProduct-Market Fit

プロダクトが市場のニーズに合致し、顧客に受け入れられている状態。スタートアップの成長における最も重要なマイルストーンの一つ。

ピッチデックPitch Deck

投資家向けの事業説明プレゼン資料。通常10〜15枚で、課題・解決策・市場規模・ビジネスモデル・チーム・資金使途などを簡潔にまとめる。

ピボットPivot

事業の方向性を大きく転換すること。市場ニーズとのミスマッチや新たな機会の発見をきっかけに、ビジネスモデルやターゲット顧客を変更する戦略的判断。

普通株式Common Stock

創業者や従業員が保有する標準的な株式で、優先株式のような特別な権利を持たない。議決権はあるが、清算時の分配は優先株主への支払い後となる。ストックオプション行使で取得する株式も通常は普通株式。

ブリッジファイナンスBridge Financing

次の本格的な資金調達ラウンドまでの資金繰りをつなぐための短期的な資金調達。J-KISSや転換社債で実行されることが多く、バリュエーション交渉を先送りしながら運転資金を確保する手段として使われる。

プレシードPre-Seed

シードラウンドよりもさらに前の段階。アイデアやプロトタイプの段階で、創業者の自己資金やエンジェル投資家からの少額出資で事業を開始する時期。

プレマネーPre-Money Valuation

資金調達前の企業価値評価額。投資家の出資額を加算する前の企業価値を指す。出資後の企業価値(ポストマネー)はプレマネー+出資額で算出される。

プロラタPro-Rata Right

既存投資家が次の資金調達ラウンドで、自身の持株比率を維持できるだけの株式を追加取得できる権利。プロラタ権とも呼ばれ、有望な投資先への追加出資機会を確保するためシード投資家がタームシートで求めることが多い。

ベスティングVesting

ストックオプションや株式報酬が段階的に権利確定する仕組み。一般的に4年間で25%ずつ確定するスケジュールが多い。早期離脱時の不当な利益を防ぐための制度。

ベンチャーキャピタルVenture Capital (VC)

投資家から資金を集めてファンドを組成し、成長が見込まれるスタートアップに投資する専門機関。IPOやM&AによるEXITでリターンを得るビジネスモデル。

ポストマネーPost-Money Valuation

資金調達後の企業価値評価額。プレマネーバリュエーションに出資額を加えた金額。投資家の持株比率は「出資額÷ポストマネー」で算出される。

YA

優先株式Preferred Stock

普通株式より優先的な権利を持つ種類株式。残余財産分配や取得請求権などで普通株主に先立って権利を行使できる。VC投資では清算優先権や希薄化防止条項とセットで設計され、タームシートで条件が定められる。

ユニットエコノミクスUnit Economics

顧客1人あたりの収益性を測る指標体系。LTV(顧客生涯価値)がCAC(顧客獲得コスト)を上回る状態がビジネスの持続可能性を示す。LTV/CAC比率3倍以上が健全の目安。

RA

ランウェイRunway

現在の資金で事業を継続できる期間。手元資金÷月次バーンレートで算出する。シード期では12〜18ヶ月のランウェイ確保が推奨される。

リードインベスターLead Investor

資金調達ラウンドで最も多くの金額を出資し、投資条件の交渉や他の投資家の取りまとめを主導する投資家。取締役就任やハンズオン支援を行うことが多い。

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