資金調達Ver 1.0 · 2026-06-19更新

関西の起業家に投資するVCが語る、資金調達の方法とは?「スタートアップ関西2024」(2/2)

スタートアップ関西 運営
スタートアップ関西 運営
公開 2024.06.25 · 更新 2026.06.19 · 読了 10分
関西の起業家に投資するVCが語る、資金調達の方法とは?「スタートアップ関西2024」(2/2)
専門家のひとこと

「資金調達は起業家にとって避けて通れないテーマですが、関西でもVCとの接点が増えてきたことで、地元を離れずに資金調達を進められる環境が少しずつ整ってきています。」

結論

関西で投資するVCが語る資金調達の方法を、マネックスベンチャーズ和田氏とTHE SEED廣澤が対談形式で解説。起業家のマインドセットや資金調達時の意識すべきポイント、VCとのコミュニケーション方法について、実践的なアドバイスが語られたスタートアップ関西2024の第2セッションレポートです。

シードVC「THE SEED」は、2024年4月27日に「スタートアップ関西」を開催しました。

東京に次ぐ学生人口が多い関西圏で、スタートアップに触れる機会を創出し、
先輩起業家やベンチャーキャピタリスト(VC)、同世代の学生が集う「スタートアップ関西」。

本記事は、第一弾の記事に続き、2つ目のセッションについてまとめております。

マネックスベンチャーズ 代表取締役の和田 誠一郎氏とTHE SEED General Partnerの廣澤 太紀が登壇し、「関西の起業家に投資するVCが語る、資金調達の方法とは?」をテーマに、起業家が持つべきマインドセットや資金調達で意識することについてのディスカッションが行われました。

関西はもちろん、全国の起業に興味がある学生の方は、ぜひご覧ください。

【登壇者】

・和田 誠一郎氏(マネックスベンチャーズ 代表取締役)

・廣澤 太紀(THE SEED General Partner)

普段からやっていることは10年後、20年後につながってくる

廣澤:和田さんは数人規模のベンチャー企業や事業会社を経験し、そこからどうして投資家になったのでしょうか?

和田氏(以下、敬称略):結局のところ、「自分が投資家をやりたいかどうか」に尽きると思います。私は人と同じことをするのが好きではなく、「新しいことにチャレンジする」というアイデンティティを持っていたので、2014年にマネックスが新しくVC事業を立ち上げる際に参画しました。

私がマネックスの中でも異質だったのは、金融以外のベンチャーや人材業界、コンテンツ業界など、さまざまなキャリアを歩んできたことです。

マネックスで働く人は銀行や証券、保険といった金融業界のバックグラウンドを持っていることがほとんどでした。それに対して、私は小さいベンチャーも大企業のことも理解しているため、それが投資家として活動するようになった要因だと考えています。

廣澤:THE SEEDと同様に、マネックスベンチャーズも「他の人からお金を預かって投資する」という形態になっていますが、資金の調達についてはどのようにされているのでしょうか。

和田:親会社のマネックスグループから一部資金を出してもらっていますが、それ以外は自分で投資家を募り、営業に行って、資金を獲得してくるという形になります。

そういう意味では、1社目の“ビル倒し営業”が少なからず活きていると感じています。意外と普段からやっていることが10年後、20年後につながってくるんですよ。

創業期の資金調達方法は事業で成し遂げたい「夢」を語ること

廣澤:資金調達の方法について、融資との違いや出資するまでの流れについて教えていただきたいです。

和田:やりたい事業があったときに、前提として、未来のことは誰もわかりません。

つまりその時点においては、将来起こることに対する不確実性が高い状態なわけです。

その不確実性をどこまで許容し、お金を提供するかどうかについては、銀行であれば融資、VCであれば出資という形で判断していることになります。

銀行の場合、お金の出所は預金から発生しているもので、預かっている顧客に返さなくてはなりません。そのため、銀行は物事の不確実性を嫌います。

ストレートに言うと、確実なものだけにお金を貸したいという意志が強いのが特徴です。

ですので、今後みなさんが事業をやりたいからと、まず銀行に行ったとしてもすぐにお金を借りることはなかなか難しいのです。

一方、VCは不確実なものに投資して、それが大きくなったときのリターンで利益を得る事業体です。

「ハイリスク・ハイリターン」にベットしている以上、極論言えば「将来ゼロになっていもいい」というスタンスで、0→100になる事業を探しています。

要は、銀行とVCでは行動原理が全く異なるわけです。

例えると、銀行は1万円が2万円になる案件にお金を貸し、VCは1万円が100万円になる案件にお金を貸すと言えるでしょう。

事業立ち上げのタイミングにおいては、根拠を持って将来の確実性を表現するのが難しいフェーズなので、「事業が成立したら社会がどのように変わるのか」という“夢”を語ることが、エクイティファイナンスで重要になります。

廣澤:和田さんが投資してきた中でのベストケースや良い事例があれば教えていただけますか。

和田:起業家と一番最初に話した際の内容の良し悪しは、あまり考えていないですね。

私の場合、1回目にお会いした後に宿題を出すので、1〜2週間後の回答によって、その人の物事における見方や考え方、解像度の差分を見るようにしています。

宿題前後での成長差分を認識できれば、極論どんな事業であっても、将来にわたって難しい局面を乗り越えられる「胆力」が備わっていると判断できます。

そこを、起業家とのやりとりのなかでチェックするようにしています。

もう一つ言えるのは、投資判断において人が人を評価するため、「絶対評価」ではなく「相対評価」になることです。

AさんとBさんがいた場合、人は両者の違いを潜在的に認識してしまうのですが、人に対する比較対象がどの位置にあるのかというのは、時間の経過とともに変化していくわけです。

その瞬間では駄目だったとしても、1週間後に同じような話をしたときに評価が変わることって、結構あると思うんですよ。

そういうマインドを持ち、「常にVCヘアタックし続けられるか」というのも資金調達を決める上では大事な要素になりますね。

義務を果たそうとせずに、自分の思いに100%忠実でいること

廣澤:僕がシードVCの仕事を好きな理由の一つに、「ペイ・フォワード」の考え方があります。一度起業で成功した先輩たちが、次の世代へ成功哲学やノウハウを共有していくもので、これをTHE SEEDでやりたいと思っています。

そんななか、起業家にとって投資家から資金を受け取った際に「果たすべき責任」というのは、どのようなものがあるとお考えですか。

和田:VCは将来の不確実性を許容し、未来に賭けることをしています。

つまり、起業家はVCが望んでいるリターンを事業の成長によって実現しなければならないという「義務感」を持つ必要はありません。

企業価値を1000万円から1億円にするというのは、あくまでVC側の都合であって、起業家はそのために事業をするのではないわけです。

自分のやりたいこと、社会を良くしようという思いを持ち、事業に取り組んでいる以上、まずはその思いに100%正直でいてほしいと私は考えています。

事業で目指すあり方、目標を実現させるために努力し続け、常にフルスイングしていくことが、ひいては投資家から預かった資金に対する責任を果たすことになると考えています。

誰かのために、自分の思いやこだわりを犠牲にして、義務感を果たそうとするのは、自分の人生にとってむしろマイナスになってしまいます。

そういう意味では長い人生の中で、やろうと思って決めたリスクに対して、「やりきったのかどうか」は非常に重要なことです。

廣澤:どういう場面でやりきったと感じるのでしょうか。何か判断軸などがあれば伺いたいです。

和田:もちろん、何も苦労しない方がいいわけですが、目の前にあることだけにあくせくするのではなく、「一歩先にあるものを見据えた上で苦労できるかどうか」が問われていると思うんです。

日々、一生懸命に事業と向き合い、もがいているか。

基本的な取り組みスタンスですが、この姿勢を貫くことが重要です。

私が思うに、客観的に見れば事業がうまくいってそうでも、起業家本人は満足していないという具合が良い状態だと思っています。

常に課題がある、困っている、悩んでいるといった状態が続いているのは、事業と真剣に向き合い、やりきっているのを表す一つの指標になると言えるでしょう。

起業家との面談や会食をしてコミュニケーションを取るときは、そういう部分をチェックするようにしていますね。

人間関係やお金、プライベートのことなど、人生にはいろんな悩みがつきものですが、常に自発的な行動を起こし、「壁にぶち当たりにいっているかどうか」を見るようにしています。

廣澤:和田さんのお話を聞いていて、主観的な判断だけではわからないことが多いなと感じました。僕も当初から言っていることですが、「同年代で信頼できる友人を持つ」のはすごく大事なことだと思うんです。

起業して同じようにファイナンスを受けた友人が周囲にいると、自分がやりきったかどうかを客観的に見てもらうことができます。それは投資家相手でもできるので、そういう繋がりも活かしてほしいです。

やりたい気持ちを忘れずに挑戦し続けることの大切さ

廣澤:最後に学生の皆さんにメッセージをお伝えすると、「資本金100万円に対して50万円出資するから株式の50%をください」という話を持ちかけられたら、VCによるエクイティファイナンスの類ではないことだけ覚えておいてください。

株式のうち10~15%以上の持分を求められたら、基本的にVCのオファーとは異なると思ってもらった方がいいです。

和田:私から伝えたいのは「やりたいという気持ちを忘れないこと」です。

人によって、起業に対しての考えや思いが漠然としていたり、あるいは確固たる自信があったりと温度感は異なるでしょう。

でも、何かをやりたいという気持ちを持っただけでも、それは素晴らしいことで、誇りに思っていいんです。

そこから少しずつでいいので、自分の思いを身近な人に伝えていく。

行動を続けていくと、肯定的な意見ばかりではなく、ときには批判もされると思います。その度に自分の気持ちを確認して、揺るぎのないものにしていってほしいです。

事業を創ること、起業することは大変であり、それだけ尊くかつ誇り高きものだと捉えています。

だからこそ、自分と同じ価値観や思いを持った仲間を、直接的でも間接的でも構わないので増やしていくことも大事になります。

そして、何より挑戦し続けること。

自分のプライドを持って、芯をぶらさずに一歩ずつ前に進んでいってほしいです。

一緒に良い社会を作って、良い日本にしていきましょう。

■「スタートアップ関西」について

2018年に創設した「スタートアップ関西」は、関西の学生が、スタートアップ・起業に触れる入り口を作るためのコミュニティです。起業家やVCとの接点や、スタートアップに関心のある同世代が情報共有できるコミュニティを作ることで、起業やスタートアップを目指す学生の若い才能を後押しします。

HP:https://startupkansai.com/

よくある質問

関西 起業家 VC 出会い方

関西の起業家がVCと出会う方法は、スタートアップ関西をはじめとするイベントへの参加、VCのWebサイトからの直接連絡、大阪産業局やKICS等の支援機関経由の紹介、起業家コミュニティ内での口コミ紹介が主です。関西に投資実績のあるVCは増えており、東京に行かずとも接点を持てる環境が整いつつあります。

資金調達 意識すべきこと スタートアップ

資金調達で意識すべきことは、調達の目的と使途の明確化、適切なバリュエーション設定、投資家との相性確認の3点です。金額だけでなく、投資家がもたらすネットワークや知見も重要な判断材料です。また、調達には時間がかかるため、ランウェイに余裕を持ったスケジュールで動き始めましょう。

スタートアップ関西 2024 内容

スタートアップ関西2024は2024年4月27日に開催された第8回のイベントです。セッション1で若手起業家3名が起業の始め方を、セッション2でマネックスベンチャーズの和田氏とTHE SEED廣澤がVCの視点からの資金調達を語りました。関西の学生を中心に、起業やVCに関心のある参加者が集まりました。

著者
スタートアップ関西 運営

スタートアップ関西 運営

スタートアップ関西 運営

関西のスタートアップエコシステムを盛り上げるメディア。プレシード〜シード期の起業家に向けて、資金調達・PMF・グロースの実践知を発信しています。

Next Event
スタートアップ関西 2026 Summer
2026.06.21(日) ·  Blooming Camp  ·  参加無料
イベントに参加する