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VC・投資家Ver 1.0 · 2026-06-19更新

プレシード・シードで投資するVCの視点:スタートアップCEOが語る投資家選び

スタートアップ関西 運営
スタートアップ関西 運営
公開 2024.07.29 · 更新 2026.06.19 · 読了 17分
プレシード・シードで投資するVCの視点:スタートアップCEOが語る投資家選び
専門家のひとこと

「投資家選びは『お金をもらう相手を選ぶ』のではなく、『数年間一緒に走るパートナーを選ぶ』ことです。起業家CEOの生の声から、その意思決定の重みが伝わる内容だと思います。」

結論

プレシード・シードステージでの投資家選びについて、THE SEED代表の廣澤とキャピタリストの宮城が対談形式で解説。シードVCの日常業務、投資先との関わり方、成功するスタートアップの特徴、起業家が投資家を選ぶ際のポイントを、実際の投資経験に基づいて具体的に語っています。

0\. 記事の説明

本記事では、シードVCおよびプレシードVCとして活躍するTHE SEEDの活動に焦点を当てていきます。THE SEED代表の廣澤氏とキャピタリストの宮城氏が対談し、プレシードおよびシードステージでのスタートアップとの関わり方や資金調達について詳しく語ります。

THE SEEDは、創業初期のスタートアップに対する投資を通じて、多くの企業の成長に関わってきました。

本記事では、両氏の経験と見解を通じて、成功するスタートアップの秘訣や投資家としての視点を深掘りします。スタートアップの成長を目指す方々や、これからプレシード、シードVCに参画したい方にとって意味のある記事となれば幸いです。

1\. プレシード、シードVCとして投資する2名のキャピタリストの紹介

本記事で登場する、THE SEEDで活動する2名のキャピタリストを紹介します。

まず1人目は、General Partnerの廣澤 太紀さんです。1992年生まれ、大阪府出身の廣澤氏は、2015年にシードVCに入社し、新規投資先の発掘や支援に従事しました。2018年9月に独立してシードファンド「THE SEED」を設立し、2021年3月に2号ファンド、2024年3月に3号ファンドの設立を発表しました。現在、廣澤氏は約34億円を運用しており、プレシードおよびシードステージでの投資を実行しています。投資先には、スマートコーヒースタンド「root C」やBS資材の研究開発を行うAGRI SMILE、VR/AR事業など、約50社に及びます。2023年には投資先Arent社が上場しました。

2人目は、キャピタリストの宮城 圭介さんです。宮城氏は2015年に地方銀行に入行し、法人融資担当者として新規開拓業務を行いました。その後、金融系VCでのファンドレイズ業務やLPとのリレーション構築業務、ユーザベース社での「INITIAL」事業のSales Leaderとして事業開発を経験しました。2022年にTHE SEEDに参画し、現在は前職のネットワークを活かした投資先支援と新規投資のためのソーシング業務を担当しています。幼少期から大学まで野球に打ち込んだ経験から、アスリートの創業支援も行っています。2024年3月に公開した3号ファンドでは、ファンドレイズと投資活動を担っています。

ここからは、プレシード、シードVCを学生インターン生時代から取り組んできた廣澤氏と、金融系VCや事業会社での経歴を持つ宮城氏の経験と知識を通じて、プレシードおよびシードVCの投資活動について説明していきます。

2\. プレシード、シードVCとは、普段何をしているか?

シードVCは普段どういった仕事をされていますか?

廣澤:私の場合は、現在THE SEED3号ファンドで30億円を集めるために、金融機関や事業会社に提案を行っています。特に関西圏のオーナー系企業の方々とお話する機会が増えています。

関西圏のオーナー系企業の方々とお話をしていると、「スタートアップと触れる機会が少ない」という声をよく聞きます。しかし、新しいものに対して関心が強い方が多いので、投資先や投資先以外でもシード期の起業家の方々を招待して会食を通して交流する機会を設けています。

廣澤:私たちはファンドに対しても単に出資していただくだけでなく、投資先の初期顧客として一緒に応援していただける方をLP投資家として重視しています。実際にファンドへ出資していただいたロート製薬さまは、投資先の事業に対して有償導入するならどういった形なら可能か提案してくださり、結果的に初期顧客として利用してくださっています。

このような関係性をLP投資家の方々と築くことで、投資先企業に対するサポートの質を高めることができると考えていますし、LP出資していただく方にとっても意味のある出資になりやすいと感じております。

宮城:ファンドレイズのほかに、投資活動も積極的に実施しているので、ソーシング活動にも力を入れています。若手の起業家候補生に多く会うために、年間40回を超えるイベントを自社で開催しています。また、学生起業にも注目しており、各大学のゼミ、サークル、部活動にアクセスし、年間2,000人を超える起業家、起業家候補生にアクセスしています。

プレシード、シードVCとして、投資先とはどのように関わっていますか?

廣澤:投資先の資金調達サポートには多くの時間を費やしています。プレシードおよびシードVCとして支援できる内容として、必要資金の洗い出しとその資金の工面があると思います。

具体的には、次のラウンドでどういった投資家から資金を募ると良いか整理したり、アーリーステージのVCから資金調達を行うために紹介だけでなく、資料の作成や修正、ミーティングへの同席なども行っています。

ただ、やはり全投資先に対して同様の関わり方ができているとは言えない状況で、チームの拡大や投資先の方々にとってより重要な情報の共有方法なども検討しています。

事業会社から転職した宮城さんが感じた「プレシード、シードVC」とは?

宮城:当初のプレシード、シードVCのイメージは、投資対象となるのが、会社を設立し、数人のメンバーがいてプロダクトはあるけど、まだユーザーはついていないくらいのフェーズだと思っていました。

しかし実際には、会社登記前から相談を受け、まだサービスもなく、数人のメンバーどころか起業家1人、アイディアのみ、ピッチデックがない状態もある中で投資の意思決定をすることがあります。

宮城:私は新卒で地銀に入社し、その後金融系VC、事業会社を経てTHE SEEDに入りました。銀行員時代や金融系VC時代にはなかった意思決定の仕方をしていて、まさに人に投資するとはこういうことなんだと感じました。

投資の意思決定スピードの早さにも驚きました。廣澤さんの場合、最速で初回面談時のミーティングの中で投資のオファーをしています。私も初回面談の30分後には投資委員会を開催し、意思決定後、その日中にアポイントを取り、直接会いに行って投資オファーをして投資機会をいただいた会社があります。

プレシード、シードVCでは、投資の意思決定も1週間ほどかけて議論をするものだと思っていたので、もちろん時間をとって議論するケースもありますが、そうでないケースにも触れることができて、驚きました。

THE SEEDが投資するのはどういったフェーズですか?

廣澤:フェーズとしては、プレシード、シードステージでの創業投資です。2020年頃まではシードラウンドやエンジェルラウンドと言われていた印象ですが、最近は同じフェーズでもプレシードラウンドと呼ばれることが増えました。

THE SEEDの初回チケットサイズは、500万円から5,000万円です。多くの場合は1,500万円から2,000万円程度の出資となっています。プロダクト、ピッチデックのどちらも無かった方へ投資させていただいたこともあるので、ご興味をもっていただけたら連絡していただけると嬉しいです。

投資検討する上で特定の分野や産業がありますか?

廣澤:いいえ、事業ドメインは絞っていません。飲食店向けの調理ロボットや、農業資材の研究開発、ECサービスなど幅広く投資しています。特定の分野に限らず、多様なビジネスモデルやアイデアに対して投資を行っています。

3\. アイデアがない段階のプレシード期、起業準備中のときに何をするべきか

廣澤:プレシード期に出資検討をさせていただく際、アイデアがない段階の方もいます。私たちが出資オファーをさせていただく際は「何を成すのか」という点で高い志を持っているかを重視しています。アイデアがない段階で起業された方に対しては、「少し情報を増やすこと」から始めることを推奨しています。

廣澤:まずは、簡単に流行りのスタートアップビジネスと様々な企業のお金の流れを知ることを勧めています。

具体的には、直近1、2年くらいのY Combinatorに採択された会社300社ほどを並べてみて、その中から自分が関心のあるサービスの傾向を見つけるのが良いんじゃないかと思っています。その次に日本で類似する上場企業があるかどうかを調べてみて、あれば直近1年分でも良いので、自分が経営者だったらどういった事業計画を立てるか整理してみると、売上や粗利率、必要な人員数などのイメージが湧くと思います。

アイデアがなくても起業して良いのか?

廣澤:私個人としては、特にスタートアップとしての起業はあまりお勧めしていません。シードVCとしてはもちろん優秀な方々にはスタートアップを始めてほしいですが、一方で大変なものでもあります。

なので、特に若い方の起業においては、スタートアップでない形で起業することは検討して良いと思います。他者からの資金を預かってスタートしないのであれば、「アイデアがなくても起業」だったとしても問題ありません。

廣澤:「起業する」以外だと、スタートアップの共同創業者やNo.2として関わる方がもっと増えてほしいですね。その際のメリット、デメリットも存在しますが、偉大な会社を一人で創業し、経営することは困難です。本当に高い志をもった方に出会ったら、そういった選択肢があっても良いだろうと思います。

どんな人物に投資したいですか?

宮城:投資したい人物は、プロダクトやサービスをヒットさせたいという方ももちろん魅力的ですが、私は会社の経営にこだわりや強い思いを持っている人物に惹かれます。その思いを実現するためなら、何回でもチャレンジし続けたいと考えている起業家の方とご一緒したいです。

起業家の方にとっては、実現したい世界を創ろうと起業しても、うまくいかない時期のほうが長いと思います。そういった時でも、必死に改善し、可能性を信じて模索し続けている方を見ると、この方に投資できてよかった、もっと力になれるよう努力したいと感じます。

創業時に投資をさせて頂く身としては、そういった方々と何回でもご一緒させてもらえたら嬉しいです。

宮城:まだまだVCとしての経験は少ないですが、その中でも成功するスタートアップの起業家にはいくつかの共通点があるように思います。

変化率が高いこと、先輩起業家や同世代の起業家に慕われていること、そして、なんとしても成し遂げたいという強い欲求や目標があることです。

投資判断を行う際は、上記の点を知りたいので、起業家の方がなぜ起業したのか、どんな会社を創りたいか、目標としている経営者やメンターがいるかどうかを質問させていただいています。

それを聞いた上で、私自身が起業家の方が実現したいことに少しでも価値を提供できるのか考え、投資オファーをさせていただくようにしています。

4\. THE SEEDからプレシード、シード期に投資を受けた起業家へのインタビュー

ここからは、THE SEEDから創業期に投資させていただいた起業家の方々にこれまでの振り返りにお付き合いいただきました。

株式会社FiT 代表取締役 加藤 恵多 氏

1999年生まれ。京都大学医学部在学時の2020年12月に株式会社FiTを設立し、代表取締役に就任。2022年2月にはフィットネス事業「LifeFit」を開始。2023年にはアジアを代表する30歳以下の起業家として、Forbes Asia Under 30に選出された。2024年8月には72店舗を運営する。

HP:https://fitinc.jp/

サービスサイト:https://lifefit.tech/

X(旧Twitter):https://x.com/KatoKeita

株式会社Chai CEO 西澤 理花 氏

1996年生まれ。UC Berkeley学士号とColumbia University修士号を取得。2018年に卒業後、帰国し株式会社Chaiを創業。ドッグフードのD2C事業を立ち上げる中で、顧客接点における課題を現行のECツールに見出し、独自のECプラットフォーム「BuyChat」を開発。「ECを軸に全てのスモールビジネスをエンパワーする」をミッションに掲げ、日本の地域の魅力を発信するためにグローバル展開も視野に入れて活動中。2023年、『Forbes JAPAN』主催の「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」のBUSINESS & FINANCE & IMPACT部門に選出された。

HP:https://www.chai.co.jp/

サービスサイト:https://www.buychat.shop/

X(旧Twitter):https://x.com/rika2438

出資オファーや投資の意思決定までがスムーズだった

加藤氏:初回投資の相談をしにいった際、事業について話す前から「加藤さんが起業するなら投資します」と即断でコミットいただけるほど投資意思決定が早かったです。

私が起業する前に、京都で行われていたTHE SEEDの勉強会に参加してお話させていただいたことはありましたが、それにしてもこれだけコミットが早いのには驚きました。

初回投資だけでなく、次回ラウンドでの追加投資の意思決定も早く、とても頼もしかったです。追加投資があるという事実が新規の投資家には安心感につながり、ラウンドがまとまりやすかったのではないかと思っています。シード、プレA、シリーズA、全てのラウンドで即断コミットいただけており、「上場までついて行きます」との力強いサポートを受けています。

西澤氏:YESでもNOでも、すぐに意思決定してもらえたことがとても助かりました。他の投資家に比べてスピーディに対応してくれる印象です。私が初めて資金調達したのは、ドッグフード事業をスタートさせたタイミングに出資していただきましたが、その後ピボットを決めた時にも、重要なタイミングで追加出資していただき、事業の意思決定を加速させることができました。

これまで数回資金調達を行っていますが、追加出資も素早く意思決定してくださり、1度だけNOの場合もありましたが迅速な返答で、起業家の時間を第一に考えてくれていると感じました。

他の投資家の方だとNOなのに度々コミュニケーションを続け、時間をどんどん費やすこともありますが、THE SEEDはその点で非常に信頼できます。

良い先輩経営者コミュニティと繋げてもらえて視座が上がる

加藤氏:初回投資いただいて数ヶ月、サービスをリリースする前の何も持っていないタイミングで、招待制カンファレンスの「B DashCamp」にて名だたる上場社長とのお食事会にお誘いいただきました。

流石に場違いすぎて当時は緊張しましたが、創業してすぐに自身の現状に対して、ある意味「絶望」できたのは良い機会でした。移動のタクシーで廣澤さんに励まされたことが脳裏に焼き付いています。

西澤氏:Chaiの株主として入ってもらっている、ポーラ・オルビスホールディングスのCVC岸さん、フリークアウト・ホールディングスCEOの本田さんなど沢山の方を紹介していただきました。ご紹介していただいたお二人は、ともに株主としてだけでなく、事業の意思決定や経営上のメンターとしても心強い存在です。

事業進捗の説明が難しかった、プレシリーズAと呼ばれるようなラウンドも、廣澤さんが紹介し、面談まで同席して下さったということも大きく働き、比較的スムーズに資金調達を実施することができました。

ピボット時の苦しい時期に、全力で前向きに支援してくれた

西澤氏:創業時の事業からピボットしていた期間、事業もプロダクトもなく、検証やヒアリングだけをただひたすら行う日々が続いていました。

何か事業をつくらないといけないと思いながらも、進捗と言えるものがないように感じる日々が続いて焦り、視座もどんどん下がっていく中で、廣澤さんは常に応援してくれました。

当時、クラスターの代表加藤さんなど、大きな夢を抱いている先輩起業家にも繋げていただき、ピボットすることは「前向きな意思決定」だと強く思うことができました。そのおかげで、自信を持って新しい方向に進むことができたと思っています。

加藤氏:プレシード期、シード期というのは、想定通りいかないことが前提だと伝えてくださったので、上手くいかなかった時のプレッシャーがなく挑戦しやすかったです。

創業当初や資金調達時に作成した計画は、今思い返すと絵に描いた餅で全く蓋然性がありませんでした。しかし、廣澤さんは目標自体を否定することはなく、計画が変更され続けたとしても、創業者のことを強く信頼してくれているんだと感じています。一方で、事業の細かい部分については把握されていないこともあります(笑)。

加藤氏:あとは、イベントのクオリティが高いというのも魅力じゃないかと思います。THE SEEDのイベントは場の目的が明確なので参加していて楽しいですし、持ち帰ることも多いです。同世代の起業家と繋がれる機会が度々あって、今でも仲良くさせてもらっている方が多いです。

さいごに

本記事では、THE SEEDの廣澤氏と宮城氏のプレシードおよびシードVCとしての活動や投資スタンスについて語っていただきました。彼らの経験と視点は、これから起業を目指す方や、既にスタートアップに取り組んでいる方にとって非常に参考になる内容だったのではないでしょうか。特に、初期段階での投資家との関わり方や資金調達のポイントについて、実践的なアドバイスが満載でした。

廣澤氏が語る、志を持つことや情報を集めていく過程の重要性、宮城氏が強調する「人に投資する」という視点は、スタートアップ成功の鍵とも言えるでしょう。プレシードやシード期のスタートアップに投資するTHE SEEDの姿勢から、起業家の成長を支えるための信念と熱意を感じ取ることができました。

これからも、スタートアップ・起業を志す方にとって、少しでも参考になる情報をご提供できるよう、記事を執筆して参ります。

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よくある質問

シードVC 選び方 ポイント

シードVCを選ぶ際のポイントは、投資後の支援内容(ハンズオン度合い)、投資先の成長実績、キャピタリストとの相性、ファンドの残存期間と追加投資余力の4点です。資金だけでなく、戦略面のフィードバック、採用支援、次回調達の支援など、事業成長に必要なリソースを提供できるVCを選びましょう。

プレシード シード VC 違い

プレシードVCはアイデアやチーム段階で数百万〜1,000万円程度を投資し、事業の方向性検証を支援します。シードVCはMVPやプロトタイプが存在する段階で数百万〜数千万円を投資し、PMF達成を支援します。プレシードの方がより早期で不確実性が高く、投資額も小さい傾向にあります。

スタートアップ CEO 投資家 選び方

CEOが投資家を選ぶ際は、金額だけでなく、その投資家が自社の事業領域にどれだけ理解があるか、既存投資先の評判はどうか、困った時に率直に相談できる関係を築けるかを重視すべきです。複数のVCと面談し、投資先の起業家にレファレンスを取ることを推奨します。

著者
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